目次
[あらすじ]
舞台はフェオ区、ウル区、ソーン区、アンスール区、ラグズ区、ケン区、ギョーフ区、ウィン区、ハガル区、ナウシズ区、そして政府機関・オーディンタワーからなる宇宙コロニー都市「ヴァルハラシティ」。
しかし、多くの人は都市の入口にさえ入れない。ましてや星間難民のような身分証明書もクレジットポイントもない人間なんてもっと…。
──だが、そんな中にも例外がある。そのうちのひとつが、オーディンタワー直属の軍隊「エインヘリヤル」に入隊する事だ。隊員は普通の生活と引き換えに、非凡な力を手に入れる。その力とは、ブラックホールから生まれたネメシスの因子に由来するものだ。
物語は、この都市に、EX級ネメシス「ニーズヘッグ」の因子に唯一適合した若者が降り立つ所から始まる。
その力がこの都市にもたらすのは救済か、破滅か──
[用語]
・ケージ
ネメシスをはじめとする宇宙の脅威から逃れるため、人類が辺境の星系に築いた巨大な宇宙コロニー都市。だいたいケージ1ユニットで惑星1つ分の規模。
どこのケージも様々な星系から来た様々な種族が暮らしており、多様な文化を受け入れ、尊重し合っている。
・シャーレ
ケージに入れなかった人達が築いた、小規模な宇宙集落。安全なシャーレはかなり少数派。
・ネメシス
1000年前に発見され、500年前に宇宙の知的生命体の文明圏を壊滅させた、人類に敵対的な宇宙生物。
D〜EXまでのランクが存在する。C級までは一般人でも頑張れば倒せるが、それ以上になると専門家やある程度慣れた戦闘員でないと太刀打ちできない。
EX級は体躯も非常に大きく、宇宙戦艦の数倍くらいのサイズ。これを倒す事は世界を相手に戦うようなもので、1体でも倒せれば英雄と呼ばれるようになる大偉業。
ブラックホールから生まれる事から、反物質・反生命の性質を帯びていると考えられている。
・デメテル
人類に友好的な宇宙生物。
宇宙水族館で飼育されたり、観光資源として利用される事もある。一部の宇宙水族館では触れ合うこともできる。
・エインヘリヤル
オーディンタワー直属の軍隊。
宇宙コロニーの都市内の治安維持だけではなく、宇宙コロニー周辺の宙域を外敵から守る事もエインヘリヤルの任務に含まれる。
隊員の中には星間難民から被検体となって実験を成功させ、ヴァルハラシティに住めるようになった人も少なからず居る。
・ヴァルキリー
政府高官の身辺警護を担当する美女SP集団。
彼女達の美しさと強さは、エインヘリヤルに並ぶ市民の憧れ。中にはトップモデル兼シンガーのロスヴァイセのように、タレントを兼業しているヴァルキリーも居る。
・ファイノメナ
EX級ネメシスの因子のホルダー。エインヘリヤルかヴァルキリーかを問わずそう呼ばれる。
彼らはたとえ新兵でも、政府高官と同レベルの権威と影響力がある。これはそもそもEX級の因子を移植し、それに耐えきる事自体がかなりの偉業である上に、万が一その力が暴走したら文字通り「手に負えない」…すなわち、彼らの機嫌を損ねる事は龍の逆鱗に触れる事に等しいからである。
名前の由来は現存する最古の天文書。
・星間難民
宇宙コロニーに入れず路頭にっている貧しい人々。彼らは良くて兵役、悪くて被検体にならないと宇宙コロニーに入れない。
・宇宙海賊
星間難民のうち、宇宙船を住処にしながら宇宙を旅して、様々な星や廃棄された宇宙ステーションから物資を探し出し生計を立てている人々のこと。
ネメシスに喰い荒らされた宇宙において、宇宙海賊同士の戦闘はしばしばあることらしく、どこの宇宙海賊団もその日暮らしの生活をしながら海賊同士の戦いに身を投じている。
・セフィロト
この宇宙に存在する生命エネルギー。惑星全体に含まれるセフィロトが一定の基準に達した星には、生命体が生まれるとされている。
・クリフォト
反生命エネルギーとでもいえるもので、セフィロトとはお互いに打ち消し合う関係にある。ブラックホールと関係があるとされている。
[世界観]
1000年前、宇宙生命学の研究者がネメシスを発見して以降、多くの研究者が研究を始めたが、それによりネメシスを刺激してしまった事で、文字通り「逆鱗に触れた」人類は一気に宇宙の支配者の座を龍に奪われた。
その際に生まれた「ヴァルハラシティ」は、荒廃した宇宙で今でも栄華を保つケージのひとつである。
都市の景観は、昼は白い外壁と青い空が織りなすクリーンな都市に、夜は色鮮やかなネオンが暗闇を照らすサイバーな都市に変ずる。街中はロボットやドローンによって常時適切に管理され、効率の良い豊かな暮らしが実現されている。
住宅地となっているソーン区やケン区等は密航者も多く存在するが、宇宙にはネメシスという人類共通の脅威があるため、よほどの悪人でない限り存在を黙認されている。一方、そこそこ栄えているラグズ区やギョーフ区は荒くれ者が人ごみに紛れている事がしばしばあるため、取り締まりの数も多い。アンスール区やハガル区は比較的平和で、フードデリバリーやライドシェア等の民度も良く、屋台やフリーマーケットも多く出店されている。
オーディンタワーは政府の機能がすべて集約された2つのタワーで、それぞれ「グングニル棟」、「スレイプニル棟」と呼ばれている。エインヘリヤルの本部はグングニル棟に、ヴァルハラ公営放送局はスレイプニル棟にある。
[ネメシスと人類の関係]
ネメシスは人類の脅威である一方、その因子はネメシスへの対抗策として使用されており、それこそが改造兵士「エインヘリヤル」である。政府高官の身辺警護にあたる美女SP集団「ヴァルキリー」も、名前こそ違うがエインヘリヤルと同じくネメシスの因子を投与されている。基本的に等級の高い因子ほど適合者が少なく、因子移植後も等級の高い因子を宿す者ほど強くなる。
近年の研究により、デメテルとは異なり、クリフォト粒子砲が効かない事が判明した。これが判明した事により、宇宙船に搭載する兵器に技術革命が起きた。
[歴史]
・3000年前、宇宙で最初の星間交流が行われる。参加したのは10の星系。これらの星系の名前が、ヴァルハラシティの区名に使用されている。
・2700年前、星間交流の参加星系が更に10増える。
・遅くとも1500年前までには、星間交流は史上最大規模に達した。
・およそ1200年前、パイモン星系の実験惑星アリトンから、数十体の実験生物が脱走する。その中には一体でEX級ネメシス十数体に匹敵する力を持った合成邪龍ウロボロスも含まれていた。なぜ・なんのためにパイモン星系がこのような実験生物を生み出していたのかは、パイモン星系が滅亡した事で分からなくなってしまった。
・1000年前、宇宙生命学の研究者がネメシスを発見。それから少なくとも200年以内に、人類は「逆鱗に触れた」。
・500年前、ネメシスの大攻勢が発生。大量の星系が滅亡し、星間交流は大きく衰退した。生き残った知的生命体達は辺境の星系に宇宙コロニーを築いた。そのひとつがヴァルハラシティである。
・100年前、初のファイノメナが誕生。これにより人類側に強力な対抗手段が生まれる。
・16年前、デメテルの1個体・メリュジーヌを地母神として信仰する惑星でとある双子の兄妹が生まれる。
・8年前、とある宇宙戦艦製造会社が対ネメシス兵装を搭載した民間用の宇宙船の開発に成功。これにより一般人の宇宙航行の安全性が飛躍的に上がった。プロジェクトリーダーの女性は「最後のピースを埋められたのは、私の子供達のおかげです」とインタビューで答える。
・5年前、とある宇宙生命学者が論文を発表。しかしその中の一文が、反宇宙生物を掲げる過激派組織「スペースデストロイヤー」の怒りに触れ、宇宙生命学者とその家族は命を狙われるようになる。
・2年前、宇宙生命学者夫妻が暗殺される。直後、スペースデストロイヤーは犯行声明を出す。子供達は星間難民となる。
・半年前、両親を失って星間難民となった兄妹のうちの兄が、EX級ネメシス「ニーズヘッグ」の因子の適合者として選ばれる。
・因子の移植は成功。彼はVIP待遇でエインヘリヤルに入隊。物語が始まる。